3-4X10月 大人になれなかった人達の白昼夢

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3-4X10月 感想

前半と後半

この映画は前半と後半とで雰囲気がガラっと変わる。

前半は、何か物足りない日常生活と非日常の暴力がところどころ重なり、そのアンバランス感が楽しめた。また、川沿いのグラウンドや街並みなどを、たけし監督らしく、これでもか。というくらい広角で撮っていて普通の私達が感じているであろう日常というものをうまく表現できていると感じた。この中で突如現れる暴力やヤクザがうまくギャップとなっていた。

後半は、これまた、たけし監督らしく子供のまま大人になったような破天荒な人間を描いてきた。こちらは主に暴力描写がメインなのだが、時に描く子供の遊びのような演出やさとうきび畑の演出など、人間を描きにきているように感じた。監督自身も社会に共感を得られない個性を見せたかったのではないだろうか。

沖縄 ギラギラしたあの時のたけし

後半から舞台が沖縄に移るのだが、ここから主人公を空気(まあ、はじめから空気役の設定だが)にし、たけしの言動に注目せざるを得ない映画となっていった。

まだ事故まえのたけしで当時、一番ギラギラしていた人物でないだろうか。スクリーン越しでもギラギラ感が伝わり、あぶない魅力に溢れている。

沖縄を舞台に選んだのも正解だった。すでに非日常に飛び込んだ主人公達を迎えた沖縄は、基地の町、沖縄特有の街並みは非日常感を特に際立たせた。

また、上原(たけし)の生い立ちや過去は作中で一切語られず、最後まで破天荒なままで出場を終えてしまう。これだけの魅力があった人物なので、やはり掘り下げて見てみたかった人もいるのではないだろうか。これも省略の美学といったところか。

白昼夢

沖縄での時間軸は作中でも、そこまで長くはない時間軸のはずだ。二泊三日あたりか。ただ濃密な非現実な世界、暴力と子供のままの大人、そして手にした拳銃。ここでの出来事はすべて夢だったのではないか。そういった思いにさせる表現だった。それはラストシーンのトイレからのグラウンドへ戻るシーンで顕著になる。

沖縄での白昼夢を終えた主人公達は、旅の目的を果たそうとするのだが、自分にはこういったメッセージに聞こえた

君達の住む世界はここではない。人は変わろうとしても、もし変わっても必ずしも良い方向へは迎えない

そしてやはり変われなく、同じ失敗を繰り返す。

と、ここで、再び日常に戻って行く...と後に制作されるキッズリターンのような終わり方で締まるかと思わせたが、この映画はここで終わらなかった。この主人公の行動は完全に予想外であった。

「3-4X」というのは野球のスコアボードに記されたサヨナラ試合の記述ということだが、

最後にサヨナラ勝をおさめた主人公

大人になれなかった人達の白昼夢の終了

といった意味があるのではないか。自分は当然、後者を推す。

ラストシーンのトイレからのグラウンドへ戻るシーンのオープニングループの描写は諸説あると思うが、夢から醒めたという演出として自分は受け取っている。

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