天気の子を見てきた

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  • Yoshiko Ichikawa
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ネタバレするつもりはないけど、視聴前に一切の情報を入れたくない人は注意して下さい。

ほぼ自分語りのポエム


20年前、就職で上京した僕を迎えた曇り空はとても陰鬱だった。いや、晴れ間は確かにあったんだけど、なぜかとてもグレーなフィルターに透かされた空に見えた。

羽田からのモノレールの中で見たその空に対して、僕は「こんなところでずっとやっていけるのか...」とすぐに不安になったのを覚えている。

昨日、映画を見ている時、僕はずっとこれに似たような気持ちを感じていた。

それは作中でどんなに希望が見出せるような表現があったとしてもあまり変化はなく上映時間の2時間を過ごした。


岩井俊二

多分、作者は大人から見た「子供の気持ち」がとてもよく分かっている人だと思っていて、昔、原田眞人が岩井俊二のことを同様のように例えていた。

そして、彼らは僕たちが経験したくても出来なかった理想の思い出を描くのにすごく長けている人達で、子供の頃に僕が一度は想像したであろう「夢のような出会い」や「好きな異性との夢のような儚い恋愛」に対して非常に綺麗に表現できる人達だ。

ただ、岩井俊二は「打ち上げ花火、下から〜」で、そういった「子供の気持ち」をセピア色(今ではもう使わなくなった言葉だね笑)なフィルタを通して描いたのに対して、今作の天気の子は先にも述べた陰鬱なフィルタに通ってきた映像を僕は視聴した。

だからなのか儚いものが余計に儚く感じるのかもしれない。

humansystem

だから儚いものが余計に儚く感じるのかもしれない。

僕が感じたこの感覚は、humansystemというTM Networkの曲のイメージとよく似ていて、この曲も陰鬱の中に子供の夢想がよく表現されていた。

そして、今作中でもたまに流れてくる打ち込みのノイズ音と合わさって僕はすぐにこの曲を思い出した。

アドレナリンドライブ

子供から大人になれた時、ふと何かから逃げ出したくなる時がある。

よくコピペでみる通勤とは逆向きの電車に乗って、海に行こう的な話しだ。

それは空の青さとも合わさってとても刺激的でそしてある種のエモさがある。菊次郎の夏と言えば分かるんじゃないかな。

で、子供の頃の気持ちに帰った時、もちろん「大人はズルい」といった反骨心はあったんだけど、それより僕はとても小さなコミュニティに属しているのが好きだった。それは部活や友人といった事でもあるし、将来小さな会社で仲間と安い給料でもいいから夢を追いたいというような事でもあった。

なんでこんな事を話したかと言うと、この映画を見て子供が形成しているコミュニティを脱するにはそれ相応のエネルギーが必要になるし、何かを追いかける時にはやっぱり青空がよく似合うなあ。と陰鬱に映画を見てた僕は思っただけなのだ。

その種の青さはアドレナリンドライブがよく演出されていて、夏、うだるような暑さの中、逃げたくなった時はいつも見ている。

廃墟幻想

日常の風景が非日常に侵食された時にとても幻想的だけど懐かしさを感じる時がある。青空の下の廃墟なんかがそうだ。

それは作中にも色々工夫を凝らして表現されているんだげど、僕はずっと陰鬱さを感じて視聴していたので、どちらかというと幻想的だとかは感じず、淡々と作品を見ることになった。

マグノリア

こういった陰鬱の中での人間模様を描くというのはマグノリアがすべてをやりきっていると思っていて、そしてマグノリアは天気が重要なファクターの1つだった。

帰り道、モノレールから上京当時のような陰鬱な曇り空を眺めながら、「あ、マグノリア見たくなった」と思いながら帰宅した。

それは当時、マグノリアを見た時の僕の環境もリンクしているだけの話しなんだけど。

奇しくも路線は違うけどモノレールの車内の中で曇り空を眺めて、当時を思い出していた。