僕の前職はスタートアップのエンジニアだった。
僕が入社した時は創業に近い時期で、創業メンバーと数人のエンジニアがいる状態の会社だった。
おかげさまでスタートアップの熱意を身近で感じられ、ある2つの事業を別々の大きな会社にバイアウトした経験もできた。
サービス自体も創業当初からテレビで紹介されたり、アワードを頂いたりなんかして、認知度も少しはあった。
ただ、会社自体、人の採用は続いているんだけど、何故だか会社の規模が一定以上大きくならない。
で、当時思っていた「社員数50人という会社の壁」という自分の考えのとりとめもない語りポエム。
創業初期
創業メンバーはみんなびっくりするくらい優秀だった。前職はとても大きな会社で働いていてからの、仲の良いメンバーで起業。よくある話しだった。
そんな優秀な人達が寝る間も惜しんで事業に集中しているんだから上手くいかないわけがない。
会社はあっという間に人手が足りなくなって、求人を出すようになった。
僕自信も少しの夢を抱いて入社したので、そういったベンチャー特有の熱、「金はないけどアイデアはある。時間投資を惜しまない」のような熱に対して特に不満はなかった。
モノリシックな組織から部署ができる
で、段々と採用が進んでいき、12、3人くらいに増えたあたり程度かな。
今まで個人として有機的に活動していた組織に、部署が必要となる時がくる。
往々として効率的になることが多いと思うんだけど、逆に部署長に情報を集約させ、他部署とのやりとりのインターフェースを絞ってしまうと、そこがボトルネックになり組織としての機能不全を起こしてしまう可能性がある。
これは、今までプレイヤーとして活躍していた古参が経験のもと上長となるわけで、マネージャーの適性がない人でも部署長になり得てしまうということだ。
で、退職者が出てくるのも大体この時期だ。
それは中途入社で社風が肌に合わなかった人もいるし、そして創業メンバーも例外ではなく、組織として考え方の違いからこの時期に袂を分かつ人もいた。
創業のメンバーでも5〜6割はこの時期に離脱するんじゃないのかな?これは僕の考えや前職の環境が特殊だったかもしれないけど。
権限移譲出来ている?
ここで言う権限移譲先は信頼関係のある創業メンバーじゃなくて後から入ってきた社員のことね。起業からの思い入れがあるからこそ決定権の移譲って難しいんじゃないかな。
やっぱり最初はいくら一枚岩の組織だって言っても経営者が身銭を切って立ち上げた会社だから、決定権は経営者に集約されている。
この権限や裁量を会社の規模に応じて移譲していくって本当に難しくて、いや、きちんと社内規程あるんだけど、あったからこそ逆に柔軟に権限移譲出来なかったかもしれない。
ベンチャーに対してある種の期待感を持って入社した人が、息苦しさを感じて辞めていったって人もいるんじゃないかな。なんて事はよく思っていた。
ここが上手い会社って素晴らしいと思う。
マイノリティに対してどう立ち向かうか
一つ例を挙げる。
僕の前職は体調不良でお休みしたい時に朝メール一本で有給を代替して休むことが出来た。
これ自体はどうでもいいんだけど、問題はその頻度だった。
ある一人の社員は、月に数回、有給を使い果たしても尚、当日の連絡で仕事に穴を空けることがあった。
後から入ってきた人達は「ああ、こんな会社なんだ」と思うよね。
ここで言いたいのは体調管理や仕事を休むな云々の話しではなく、一人の「とんがった行動」が後に続く人達への社風になったり勘違いを生み出すということだ。猛烈に働いていた創業メンバーと違った価値観の人間に対してどう接して文化を形成していくか。という話し。
特殊な言動をする人に対してどう対応するか。仲良しなだけではダメな時期になってくる。
特別扱いしていると、人間、不公平さには敏感なのできっと不満が出てくると思う。
人間関係の難しさ
特に20人を越したあたりから、「お友達グループ」が出来上がり、無意識に敵と味方とを分け始める傾向にあると思う。
ほんと些細なことがきっかけの事が多いんだけどね。
それは部署間でも部署内でも起こり得るんだけど、こういった人間関係が出来上がると途端に社内の雰囲気が変わってしまう。
また、この辺りの人数規模になってくると、起業当初のベンチャー熱なんて当然どこふく風になっていて、きちんと「ワークバランス」を考えていかないといけないんだけど、一番会社が成長する時期に「うちはベンチャーだから」というイケイケの意見と、「適切なリソースマネジメントしようよ」という保守的な意見なんかが混在しててんやわんやになったりもした憶えがある。
いや採用って本当重要。よく熟考して採用したつもりなんだけどね。会社のビジョンを共有出来なかったり、ちょっと会社の平和を乱す人なんかもいたりしたかも笑
人手不足、中途採用だとどうしても業務能力を僕達は重視してしまっていた。
そうそう、この辺りから社内恋愛なんかもちらほら発生するんじゃないかな。経営に集中したい時期にも関わらず経営者や上司は本当にセンシティブに対応しなければならない
そしてそして、単純に50人を越す従業員に給料を出すにはそれなりの売り上げが必要で、事業自体、それほど大きな市場ではなかった場合、もちろん人は増えない。
「事業拡大だ!」って言って雇用しても給与が増えないので結局は事業として利益が出る人数に落ち着いてくるハズだ。
新陳代謝していく
新陳代謝していく。
そういうと聞こえはいいけど、結局、社内にノウハウが溜まりづらいわけ。
ちょっと言い過ぎだけど、穴の開いたバケツに一生懸命水を汲んでいるような状態のような感じ。
退職していくのは入社1年ほどの人もいれば、堰を切ったようように古株が退職していくこともある。
いくら人を採用してもいつも30〜40人前後の社員数になっているんだよね。
僕も疲れてしまって10年以上勤めたけど退職した口だし。
50人を越すには、それに見合う売り上げと組織が必要だ。と思った話し。